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得ではないインシュアランス
ディーラーのブラックジャックへの対抗手段として、インシュアランス(insurance)というルールが設定されています。
目次
インシュアランスに賭けると、ディーラーがブラックジャックとなったときに配当を受け取ることができます。この配当で、通常のハンドの負け分を補うことができます。
ディーラーのブラックジャックへの対応手段
ディーラに配られたカードが
の場合、かなりの高確率でプラックジャックが発生する可能性があります。
このディーラーのブラックジャック発生に備える唯一の対抗手段がインシュアランス(insurance)です。
インシュアランスは、ディーラーがブラックジャックとなるかを予想する賭けで、ディーラーがブラックジャックとなったときに払戻しが受けられます。
予想どおりにブラックジャックとなると、賭けたチップに応じて払戻しが得られます。ブラックジャックにならなかった場合は、賭けたチップが没収されます。
ブラックジャックとなったときに払い戻される倍率は、テーブルに書かれています。
通常は「2 TO 1」、賭けた1枚のチップに対して、2枚のチップの払戻しが得られます。競馬のオッズのように表すと、3倍になります。
インシュアランスに賭けるチップは、通常のハンドに賭けたチップの半分とするのが慣例です。
これは、ディーラーがブラックジャックとなったときに、通常のハンドとインシュアランスの結果を合わせると、結果としてチップが±0となるからです。
±0の結果は、この勝負はなかったのと同じになります。名前のとおり保険(インシュアランス)を掛けたような感じです。
インシュアランスに賭けるには
ディーラーは、最初のカードを配り終えたあとに、ディーラのカードが
であれば、インシュアランスを行うかの確認をプレイヤーに対して行います。
インシュアランスを行いたいプレイヤーは、このディーラーによる確認のタイミングで、チップをインシュアランスの枠に置きます。
インシュアランスのチップを置く枠は、プレイヤーごとに個別の場所ではなく、全体で1つの枠のみです。どのプレイヤーが賭けたインシュアランスのチップが判らなくならないように、自分のベッティングプレイスの前にチップを置きます。
インシュアランス成功/失敗の判定タイミング
インシュアランスの判定は、ディーラーがブラックジャックとなった、または、ディーラーにブラックジャックの可能性がない、と判明したタイミングですぐに行われます。
- アーリーサレンダーの場合
アーリーサレンダーの場合、すべてのプレーヤーがカードを引き終わった後に、ディーラーが2枚目のカードを引いた段階でインシュアランスの結果が確定します。
確定後すぐにインシュアランスの清算が行われ、引き続いて通常のプレイの確定、清算が行われます。
- レイトサレンダーの場合
レイトサレンダーの場合、ディーラーのブラックジャックの確認は、プレイヤーがカードを引く前に確認します。
ブラックジャックならば通常のプレイもインシュアランスの勝負もすべての結果が確定します。ブラックジャックでないならば、インシュアランスの負けが確定し、通常のプレイは継続されます。
インシュアランスは、通常のプレイとは独立したゲーム
先にも述べたとおり、通常、インシュアランスには通常ハンドの半分のチップを賭けます。しかし、賭けるチップは、必ずしも半分でなくても構いません。これは、インシュアランスが通常のハンドとは独立したゲームだからです。
そのため、カジノによっては、席に座ってゲームに参加していない人が、唐突に、インシュアランスのゲームのみに参加することも認めています。
インシュアランスは賭け続けると損をする
ディーラーに配られたカードが
の場合にブラックジャックが発生する確率は、単純化して13種類すべての数字のカードが均等にシャッフルマシンに含まれてるとすると、4÷13 ≒ 30.77%です。
払戻しの倍率が3倍ですから、期待値は30.77 × 3 ≒ 0.923 です。チップを1枚賭けると、期待される戻ってくるチップ枚数は0.923枚。1枚以下ですので、シンプルに考えると、インシュアランスには賭けない方が得ということになります。
とすると、インシュアランスには賭ける必要がないゲームで、ディーラーのインシュアランスの問いかけに対して常に断り続ければよいのでしょうか。これがインシュアランスを考える最大のポイントです。
合計20でのインシュアランスもなかなかうまくいかない
プレイを観戦していると、自分のハンドが合計20のときにインシュアランスを賭けるプレイヤーが多いことに気がつきます。
このときのプレイヤーの思惑は、ディーラーがブラックジャックならこのゲームを引分けで終えることができる、かつ、ディーラーがブラックジャックでなかった場合は通常ハンで勝利して、インシュアランス分を差し引いた半分を勝つ、ということでしょう。
結果がディーラーがブラックジャックとなった場合は、先に説明したとおり±0枚で終えることができ、プレイヤーは結果に満足するでしょう。
ディーラーがブラックジャックでなかったケースでは、ディーラー2枚の目のカードは絵札ではく、
から
のいずれかになります。
ディーラーにプラックジャックの可能性がなくなった時点で、プレイヤーはイラストのような結果を強く期待するでしょう。
ディーラーがブラックジャックでも負けない、かつ、ブラックジャックでないときも小さな勝ちを収めることができる、プレイヤーのハンドが合計20 のときにインシュアランスを行うのは、とてもすばらしい作戦のように見えます。
しかし、経験豊富なプレイヤーなら、こんなうまくいくケースばかりではないことをよく解っています。
ディーラーのカードが
ならば通常のハンドは引分けで、合計ではインシュアランスにベットした分の負けになります。
2枚目のカードが小さな数字でも、ディーラーはソフトハンドです。最終的には次のように通常のハンドもインシュアランスも負けてしまう最悪の結果にも、しばしば遭遇することになります。
インシュアランスと通常のハンドは、別々のゲームです。通常ハンドとインシュアランスのどちらかが勝つときもあれば、両方勝ったり、両方負けたりすることがあります。
インシュアランスだけを考えると、インシュアランスの期待値が1未満である以上、何回も賭ければインシュアランスでは損をすることになります。
うまくいったように見える通常ハンドで勝ったケースでも、インシュアランスを賭けていなければ、インシュアランスに賭けた分だけ、さらに手元に残るチップは多かったのですから、手放しでは喜べませんね。
インシュアランスに賭けるケースとは
ここまで説明してきたことを考えると、インシュアランスに賭ける必要はないように感じられたことでしょう。確率、期待値より考えれば、基本的にそのとおりで、インシュアランスに賭ける必要はありません。
インシュアランスを活用するシーンを強いて挙げるならば、2つのケースが挙げられます。
- 連勝・連敗戦略において、連勝中に負ける確率を減らしたいとき
- いつもより掛け金が多いときなど、通常とは異なる状況で、心理的負担・ダメージを減らしたいとき
注意していただきたいのは、この作戦を使える場面は、プレイヤーのハンドが合計20で、ディーラーがブラックジャックでなかったときに勝つ確率が高い場合のみです。
プレイヤーのハンドが強くないときは、通常のハンドもインシュアランスも負ける最悪の結果となる確率が高くなってしまうため、インシュアランスには賭けずに、通常ハンドの結果を運まかせにするのが懸命です。
参考資料
*1:高橋英之. 2018.『カジノでブラックジャックを楽しむための本』(「第2章」), ASBクリエイティブ株式会社
最終更新日:2023年05月26日